運命‐サダメ‐
目は、冷めたようにまだ炎の残る車を見つめていた。
何より、微かにだけど、口元が笑っていた。
そう、笑っているように見えたんだ。
ニヤリと口角が上がっていた。
他の誰も気付いていないその表情に、私は驚いてしまった。
そして、目がそらせなくなった。
そのとたん、お兄さんが振り向いた。
その為、目が合った。
一瞬遅れて、目をそらした。
それから何事もなかったように、野次馬で窓際に集まって来た社員と話していた。