運命‐サダメ‐
彼は、怒りに満ちあふれていた。
当たり前のことだ。
最愛の人を失った時、誰だってそうなる。
悲しみに明け暮れて、それから怒りに変わる。
それはもちろん、犯人に向けられる。
何度殺しても足りないぐらいに。
「あいつは新居に忍び込んで来て、オレの目の前でやった。
オレをベッドに縛り付けて、オレが叫ぶのを嘲笑うかのように、何度も、何度も刺した。
彼女は、オレの名前を何度も呼んでいたのに、何も出来なかったんだ……!」
そう言って、テーブルに拳を叩きつける。
今でも、怒りはおさまっていないらしい。