青空ファンファーレ
「さて、たっくん。出かけようか」リョウコさんのところへ。カズ君は僕の顔を見ることなく立ち上がった。

僕も黙ってうなずくと、出かける準備をした。

着たばかりのパジャマを脱いで洋服に着替えるのは何か変な感じだった。

口の中が乾くので麦茶を飲もうとしたらポットが空だったので、牛乳を飲んだ。口の中がニチャニチャした。

布団をたたむかどうか迷ったけど、敷布団ごと持ち上げて二つ折にして部屋の墨によけた。

冷蔵庫に貼ってあるバスの時刻表をみたら、まだ駅までのバスは走っている。

リュックサックに財布とハンカチとちり紙と・・・。

靴を履いたらなぜだかきつく感じた。

外に出るとカズ君が玄関の明かりを消した。夜にはじき出された僕はその時初めてカズ君に行き先を聞かされた。
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