青空ファンファーレ
「ありがとうね」

男の子のお母さんはそう言って笑いかけてきた。

僕は思わず目をそらしてしまった。ドウモ。とか適当に言い置いといた本を持ってレジに向かった。

会計を済まして外に出ると、病院までのあの道歩いた。

この前来た時は凄く短い距離だった気がしたけど、今日は逆に長く感じる。

こんなもんだろう。こんなカンジで僕は自分の気持ちを変えていくのだろう。

長かった距離が、いつか短く感じる日が来る。長かった時間がいつか短く感じるときがくる。

その時々で気持ちが変わるのなら、きっとこの先怖いことがあったとしてもすぐに怖くなくなる。

ようするに慣れなんだ。うまく慣れていくしかないんだ。

少しずつ変わるんだ。少しずつゆっくりと。
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