社長と刺激的な生活
俺は手にしているボールペンをテーブルに置いて、
姿勢を正し、生唾を飲み込んだ。
「実は、この件とは別だと思うのだが…他にも動きがあって…」
眉間にしわを寄せ、更に言い難そうに…。
「えっ!?別にも動きって何ですか!?」
俺は問い詰めるような剣幕で声を荒立てて訊き返した。
「詳しい動きは掴めていないのだが、裏の手の者では無く、秘書が頻繁に動き回っているとの事らしい」
「秘書がですか?」
「あぁ。仕事が忙しいのならともかく、今は何も手掛けていない。だから猶更気になって…」
俺は何か得体の知れない大きな力が迫って来る恐怖を感じて、
足元から崩れ落ちるような、
闇の力に呑み込まれるような…
気付くと恐ろしいほどに総毛立っていた。
「とりあえず、暫くは要君も奥さんの杏花さんも十分気を付けて…」
「はい」
俺は至って普通に返事をしたつもりだが、
内心、不安で不安で仕方なかった。
俺だけならともかく、杏花にだけは……。