社長と刺激的な生活
―――――コンコンッ。
「はい」
カチャッ―――――。
「失礼します。オーナー、お持ちしました」
「ありがとう」
「こんなにレモン、必要ですか?」
「えっ?……えぇ、最近レモンティーにハマってて…」
「疲れてる時はレモンよりハーブの方がいいですよ?」
「フフッ……ありがとう、丸山さん」
「いえ…じゃあ、俺、戻ります」
―――――カチャッ。
店内から僅かに流れてくるJazzを聴きながら
トレイに乗せられたレモンティーのセットを眺めて。
私に出来る事はコレくらいしかない。
大きく深呼吸して、ティーポットから
温められたカップへ紅茶を注いで…。
フゥ~フゥ~と息を吹きかけ口にする。
私は机の上のぶ厚い出納帳を眺めながら
白いお皿に乗せられた大量のレモンの山から
一切れの輪切りのレモンを手にした。