社長と刺激的な生活


通りを曲がったその先に、黒塗りの車が止まっていた。


……やっぱり、どこかへ連れて行く気なのね?


運転手と思われる人が後部座席のドアを開け


有無を言わさず、乗らされた。


すると――――、


「悪いけど、目を隠して貰うよ」


そう言って、私に黒いアイマスクを。


「あの…」


「ん?」


「大人しくついて来たんだから、要には何も危害を加えないですよね?」


「ん~、そうだね…。前にも話したけど、俺と取引してくれたら……かな?」


ッ!!


やっぱり、何が何でも取引させる気なのね?


………どうしよう。


“取引”って言われても、私は所詮お飾りの妻。


会社の事も財産の事も


何もかも私に分かる事は一つも無い。


肩書きだけの一条の妻。


私に取引出来る材料があるのかしら?


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