社長と刺激的な生活
目を覚ました杏花は、
俺を見るなり、抱きついて来た。
しかも下着姿同然で。
目覚めた時に俺が居なかったから
余程不安だったみたいだな。
俺は昨日教わった通りに調理し、
ちょうどテーブルに並べ終わった所だった。
杏花の身体を気遣って、
俺が出来る事はコレくらい。
杏花はゆっくり少しずつ料理を口にした。
食後は淋しいからなのか、
俺から片時も離れようとしない。
普通なら、杏花から甘えて来る事は珍しく
俺は掻き消したハズの不安が再びチラついた。
杏花をここまで不安にさせた事に腹が立つ。
俺は杏花が再び寝付くまで、
杏花が心の底から安心出来るように
俺の全身全霊で優しく包み込んだ。
杏花の身体は脆いガラスのように
繊細で儚く、そして今にも泡のように
消え失せてしまうんではないかと……。
俺は苦哀にも似た感情を覚えた。