社長と刺激的な生活
会長が気を遣ってくれ、一通り挨拶回りに同行してくれた。
恐らく、爺さんが話をつけておいたんだろう。
一条と加藤の会長夫妻は旧知の仲で、
ライバル会社でありながら…
お互いに切磋琢磨して成長をして来たと、
以前、爺さんから聞いた事がある。
だから、奴とも幼い頃から会う事が多く
何かに付けて…因縁をふっかけられた。
俺は“加藤”の名を耳にしただけで…
防御反応が出てしまうほど。
俗にコレって…“トラウマ”って言うんじゃないか?
俺と杏花は挨拶回りを済ませ、帰る事にした。
会長にお礼も兼ねて挨拶し、出口へ向かう。
すると―――――!!
「キャッ!!」
いきなり杏花が立ち止まった。
杏花の腕を…奴が掴んでいる!!
「おいっ!篤、杏花の腕を離せよ!」
「あぁ、離すさ…」
篤は杏花の腕を離す素振りを見せ…
グイッと自分の方へ引っ張った。