社長と刺激的な生活
「では、このデザインで原版を起こすのと、こちらのパーツは別の素材を検討してみます」
「悪いね」
「いえ。自分もこの素材は少し不安でしたので…」
「女房が我が儘を言って探して貰ったのに、コロコロ替えて申し訳ない」
「とんでもありません。より良いご提案をさせて頂いた上で、ご納得して頂ける商品を…と考えておりますので…」
「そう言って貰えると助かるよ」
「恐れ入ります」
打ち合わせを兼ねた会食は無事終わった。
さて、そろそろ杏花も帰って来る頃だし、俺も帰るとするか。
ホテルのロビーを通り抜け、入口の回転ドアに足を踏み入れようとした瞬間―――――!!
「一条さん!!」
「!?」
俺はジャケットの裾を掴まれ、引き止められた。
何!? 何なんだ!?
俺は引っ張られた方へ振り返ると、
見覚えのあるような女が1人。
俺の顔をジッと見つめ、何か話したそうな感じ。
誰だコイツ。俺の名を呼んだぞ?
黒いワンピースに白いジャケットを羽織り、髪は黒くて短い。