社長と刺激的な生活
俺はコーヒーを口にしながら女に視線を移す。
女は何か言いたそうな表情で俺を見つめる。
「それで、引き止めた理由は?」
「………えっと……」
女は俯きながらブツブツ。
「用が無いなら帰るぞ」
「えっ!!あのっ………」
「ん?」
「実は…―――――――――…―――――――――なんです。お願いします。助けて下さい」
「悪い、俺にはどうする事も出来ない。他をあたってくれ」
彼女は親の会社が倒産寸前で、
社長である父親が去年から癌を患い、
自分1人では会社を立て直せないと言う。
だから、俺に援助して貰おうと助けを求めたらしい。
“助けて”と言われても、助ける義理は無い。
相談に乗ってやる事くらいは出来るが、
援助は無理だと断った。
だって……仕方がない。
今の俺には家庭がある。
幾ら金に不自由して無くても、妻がある身で…
昔の女に援助は出来ない。