A quirk of fate
「返事より先に俺の話していい?」
「うん。いいよ」
「俺、高1の時彼女がいたんだ。
優香って名前でさ。
最初学校にもなかなか来なくて・・・。
俺、入学式で優香を見たとき
すっごく気になってちゃって。
なんか顔は笑ってんのに
眼だけ笑ってない感じして。んで
優香をちゃんと心から笑わせてやりたい
守ってやりたいって思ったんだ。
最初は全然心開いてくれなかったけど
話していくうちに優香ばっか気にかけてて
その時初めて俺は優香が好きなんだって気づいた。
優香は普通に体売って髪の毛染めて
ピアスつけてって不良だったんだけど
笑顔だけは天使みたいにかわいくてさ。
俺。いちかばちかで告ったんだよ。
そしたら「三日待って」って言われて
んで待ってたら付き合ってもいいよとか言われて。
俺その時ほんとうれしくてハグしちゃってさ。
照れてる優香ホントかわいくて・・・。
あの時の顔、今でも忘れられねーんだよ。
優香と付き合ってからは毎日が楽しくて
屋上で一緒に授業サボって昼寝したりする
そんな些細なことがほんとにうれしくて・・・。
遊園地行ったり、クレープ屋さん行ったり。
毎日楽しく過ごしてたんだ。
でもさ、優香の誕生日の次の日の朝。
隣に優香がいなかったんだ。
テーブルの上に一枚手紙が書いてあって
「今までありがと」って。
「幸せでした」って。
俺、あの手紙見た瞬間、頭の中真っ白になって
「優香!優香!」って無駄に叫んだりしてさ。
叫んでももう優香は帰ってこないって
わかってたのに・・・。それでもまだ
近くにいるような気がしたんだよ。
町中のいたるところ探してたら
俺と優香の思い出の川原に折り紙で
作られた紫の蝶がおいてあって
開けてみたら「航生、私を探さないで」
ってその一言が書かれてた。
俺はしばらくそこで泣き続けてた。
状況が整理できなくてただ悲しくて
泣くことしかできなかったんだと思う。
俺、今でも優香が忘れられない。
忘れようと思っても忘れられないんだ。
ボーっとしてるときとか不意に
優香の笑顔が頭の中よぎんだよ・・・。
情けないよな・・・。
でも俺自身正直どっかで優香のこと
忘れたくないと思ってるんだと思う。
だから俺は一生優香を想って
生きていきたいんだ。
もしかしたらまたどっかで
出会うかもしれないだろ?
それまで俺は優香を待ち続ける。
だから咲、ごめ・・・」