A quirk of fate
『航生っ・・、走るの・・早いよっ!』
「ごめん、ごめん」
『もう・・・。
航生は川みたいだね』
「川?」
『うん。海に向かって
スピードを上げながら
どんどん、どんどん
流れて行っちゃうでしょ?』
「うん」
『それが、航生だよ』
「はぁ?」
『航生は、川みたいに
どんどん進んで行って
私を置いて行っちゃうの。
私は石に引っかかって
ずっとそこで待ってるのに
航生はそんなこと気づかずに
進んでいっちゃうの』
「俺、そんなにひどい奴なのか?」
『ひどいわけじゃないよ。
川の行きつく先は海でしょ?
航生はゴールで優香が来るのを
ずっと待ってるの。2人とも
お互いを待ってるからお互いが
前に進めなくてその場でずっと
永遠に待ち続けるの』
「なんか、悲しいな」
『きっと・・・。
そういう運命なんだよ』
「俺はそんなことないと思う」
『ううん。きっとそうだよ』
「じゃあ、俺が証明してやるよ」
『えっ?』
「そんな運命じゃないって」
『うん。証明して?』
「わかった。俺に任せろ」