その瞳が好きって言ってる
「今日は何食いに行く?」
「行かない」
全部、終わりにするつもりで返事をした。
なのに、
「今日は受付の女、いねぇもんな?」
「ぇ?」
動揺を隠せない。
「あいつら付き合うってよ」
「……」
「お前の元カレと受付の女」
「……そ、う」
覚悟はしてた。
でも、
この人から聞くとは思ってなくて……
「ロビーで彼氏を振るなんて、最初は……さ、調子にのった女をからかってやろうと思ってたんだ……でも、」
別れたあの人の、
好きだよって、
包み込むような眼差しが大好きだった。
「裏切られてなんかないの」
「……」
「彼は見てただけなの」
「振った男なんか、庇ってんじゃねえよ」
だって、気づいてしまった
いつからだろう、
彼のその視線の先に、
受付の彼女がいると、気づいたのは……
「何度も別れるって言ったのに、あの人、自分が悪いんだって聞いてくれなかった」
「庇うなって!」
「だから……」
彼女の目の前で、振ってみせた
「なぁ、まだ俺の目嫌い?」
そう言った彼の目は、
やっぱり、あの人とは違うけれど、
不思議と、嫌いじゃなかった。
fin