消えぬ想い

chapter5 脅し

-結衣Side-

「あの。神原結衣先輩ですよね?」

そう呼ばれ振り返った先には
屈託のない笑顔で立っている男の子がいた。

「あなたは確か・・・。」

「あ、僕の名前知ってますか?それは嬉しいな。僕、星月奏多(ホシヅキカナタ)って言います。」

「で、私に何か?」

「はい。僕、結衣先輩のことが好きなんですよ。だから、付き合ってもらえませんか?」

「ごめんね。好きな人いるから、無理なんだ。」

「矢野先生のことですか?少なくとも教師より生徒同士の恋愛が幸せだと思うけどな。」

え・・・。
なんで矢野のことが?

「結衣先輩さ、なんで知ってるのって思ってるでしょ?僕ね、とことん調べさせてもらったんですよ」

「結衣先輩は、1998年生まれの6月25日生まれ、血液型はO型。好きな歌手はYUI、好きな人は、矢野快斗。ね?当たってるでしょ?」

それを聞いているうちに寒気がしてきた。

「でも、奏多くんとは付き合えないの。あなたのこと何も知らないし、興味もないから」

「そうですか・・・。でもあなたは僕から逃げられませんよ?」

「おい、星月、神原。こんな時間に何してる。完全退校時間すぎてるぞ」

「先生。何言ってるんですか?完全退校時間過ぎても神原結衣先輩と僕がいるのは先生のせいじゃないんですか?」

「星月、何を・・「だってそうでしょ?先生が神原結衣を放課後呼び出した。そして部活を休ませた。自分の過去を全て話し、結衣先輩に抱きつき泣いた。そうでしょ?」

「あぁ。そうだ。でもそれがあったからといって、お前が残って居る理由はなんだ?俺を脅しに来たか?それとも神原を脅しに来たか?」

「僕は、結衣先輩を待ってただけです。告白するために。だから、先生と僕はライバルです。結衣先輩が矢野先生を選んでも、僕は奪い取ります。あなたになんか絶対負けない」

そう言うと星月奏多は帰っていった。

「神原、ゴメンな。星月が、お前に何を言ったかは知らないが、俺は、お前がどっちを選んでもいい。俺は、星月を選んだほうが身の為だと思うぞ。じゃぁ・・・帰ろうか。送ってくから」

先生は、いつも優しい。

そんなこと言われたらホントに、ホントに、期待しちゃうじゃん。
でも、先生はうちのことなんか「生徒」としか見れないんだよね。
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