俺は愛車に駆け寄る。

 愛車の右側のライトが見るも無残に壊れ、そしてそのライトの周りも窪んでいたのである。

「え?おい。どうしたんだよこれ。俺がやったのか?」
 
 俺は壊れたライトの部分を優しく摩る。

「きっと昨日だ。昨日の夜、酔っ払ったまま運転したんだ。それでどこかにぶつけたんだ」
 
 俺は自分自身に絶望した。昨日の飲み会に行かなければ。いや、せめて酒をほどほどにしておけば。沙織に別れを告げられることも、自分の愛車に傷をつけることもなかっただろうにと。
 
 一応エンジンをかけてみた。するとエンジンの方は特に異常はなく唸りをあげた。
どうやらエンジンの方には損傷はなく、普通に走行はできる状態であるようだ。
しかし当然のごとくあのような状態の車に乗って車道を走ろうとは思わず、俺はアパートへ戻るしかなかった。

「あークソ!」
 
 俺はそう怒鳴って、力を失ったかのように床に寝そべった。俺はまさに不運のどん底に落とされた気分だった。

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