四章 中年の男②
また若い男の夢を見た。

今の時刻は時計を見ていないから解かりかねるが、窓にかかっているカーテンがまだ暗く光を放っていないということは、まだ六時前なのだろう。

私はまた眠れなくなった。私は仕方なく、枕もとにあったテレビのリモコンを手にした。

テレビ画面は日本列島を映し出した。どうやら、天気予報の時間帯だったらしい。右上には五時五分と青文字で表示されていた。

私はチャンネルを回す。しかし、この時間であるから各局の番組はニュースや天気予報ばかりであった。

しばらく回した後、私はテレビの電源を落とした。また部屋が暗闇に支配される。

右横にあった視線を真上の天上に戻し、私は今日も見たあの若い男の夢を考えた。
教室で付き合っていた彼女に別れを告げられ、挙句の果てには自分の車を飲酒運転でどこかにぶつけたらしい。
 

 私はつい、一人で思い出し笑いのように笑ってしまった。実に救いようのない男である。酔った勢いで他の女と寝、車まで運転して。
 それにしても、あの男は何者なのだろう。
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