「メッセージ……」

私はメッセージという言葉を反復し、そしてあの若い男の顔が頭に浮かんだ。

「でも、それがメッセージだとして、あの男の夢は一体俺に何を伝えようとしているんだ」
 
 深く考え込んでいる私を見かねたのか、上山は軽く私の肩を叩いて

「あくまでも僕が勝手に思いついたものですから。本気にしないでください。
だいいち、その男がこの世にいるかもわからないんでしょ?」

「それもそうだが……でも、二度も同じ人物が夢に出るなんて少し異常だろう」
 
 私がそう言うと、上山は肩から手を離しカップラーメンを食べ始めた。

「ま、気にしないことじゃないですか。気にしたって始まらないし。そのうちほっとけば見なくなりますって」
 
 気になって仕方ないから相談しているんだ。と言いたくはなったが、これ以上話しても夢を実際に見ているのは自分なのだから仕方ないと思い、「そうだな」と愛想笑いをしておいた。

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