「おい。何でだよ。どうして俺の車に警察や刑事みたいのが集まっているんだよ」
 
 俺は人に聞えないように呟いた。何が何だか、わからなかった。どうして警察が俺の車に・・・・・・。

「これは決まりですね」
 
パトカーの陰に隠れるような形になっている俺に、警察官の一人が話す言葉が微かであるが耳に聞えてくる。それに俺は耳をすませる。

「この頃多いですねえ。ひき逃げ事件が。派手にやっていますね」
 
ひき逃げ事件?俺がまさか・・・・・・。

「大学生でしたっけ?この車の持ち主。まったく近頃の親は一人暮らしの大学生に車を持たせるから・・・・・・」
 
大学生でひき逃げ。しかも俺の車に集まる警察官と刑事。嘘だ。俺が人を殺した?俺はひき逃げ現行犯として捕まる? 
 
手が震え、足も立っているのがやっとなほどガタついている。そして俺は駆け出した。

完全にパニック状態であった。自分がなぜ走って何処に向かっているのかさえわからない。


ただと遠くへ、遠くへ逃げなければ。それしか頭の中にはなかった。
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