「・・・・・・いや、今日はまっすぐお前の家に行きたい」
 
俺は人が集まる所をなるべく避けたかった。今の俺は知らぬ他人が恐くて恐くて仕方なかった。

「は?どうしたんだ?お前らしくないなあ、変だぞ。さっきから見ていると妙に周りを
キョロキョロ見渡しておどおどしているし、訊かないが泊まる理由も何だか言いたくないみたいだし、なんかヤバイことでもあったか?」
 
俺はゾクッと身体が震えた。

「そんなわけないだろ。俺はいつも通りさ」
 
俺はわざと声を荒げて浩介の後ろにまたがり、浩介の頭を後ろ軽く押した。

「俺の勘違いだったか。でも、本当に何処にも寄らないでいいんだな?」

「おう。お前に話したい話がたくさんあるからな」
 
俺はいつもの自分よりも堂々と威張り腐った口調で言った。

「わかったよ。じゃあ、途中コンビニでビールとかつまみ買っていくとするか」

「お、おう。そうだな」

 本当なら、一秒でも早く浩介の家に行って安心したかったが、これ以上俺が妙な行動を取ると浩介がまた疑うと思い、コンビニだけは付き合うことにした。
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