コンビニを寄ってきたから三十分くらいかかっただろうか。

浩介の住んでいる二階建て木造の家に着いた。浩介は高校を卒業してから親から自立し、今はフリーターをしながらこの親戚から安い家賃で借りているという、少しばかり古いが立派なこの家に住んでいた。
 

俺はここなら警察の手も届かないだろうと自信があった。隣近所は田んぼを挟んだ二、三百メートル離れているし、まさか俺の親友までも調べあげて警察が来るとは考えられなかった。
 
そんな、ある意味では利用されているとも知らず、久しぶりの再開に酒も入りすっかりご機嫌の浩介を見ると、少し罪悪感も自分の中であった。

「ははは。お前、飲んでないんじゃないか?飲めよ。飲めよ」
 
浩介が勝手に俺のグラスにビールを注ぐ。しかし、俺は「飲めない」
とデタラメを言って、一滴もアルコールを口にしなかった。口にしなかったと言うよりも口にできる余裕がなかったと言ってもいいだろう。
 
しかし、こうやって何も疑いもなく楽しく俺に話し掛ける浩介を見ていると、昨日や今日に起きたことを一時だけ忘れさせてくれた。
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