「今日は結構お疲れみたいですね。横山さん」

 昼休み、隣の席の三年下の後輩上山が面白半分で私の顔を覗き込む。

「ああ。いつも疲れているよ」
 
 私は少しその言い方に腹が立ったが、自分で朝握ってきたおにぎりを口にほうばって気持ちを抑えた。

 「いやあ、今日は一段に疲れていますよ。何かありましたか?プライベートで。 僕でよかったら相談に乗りますよ」  

 上山がわざとらしく真顔になって、椅子を回転させて身体を私の方へ向ける。

「そんな悩み事なんかないよ」

「ああ。そうですか?」  

上山は不服そうに小刻みに頷き椅子を回転させ、また自分の机に置いてあったコンビニ弁当の蓋を開ける。

「うーん。悩みってわけじゃないけど・・・・・・」

「はい?」

上山が口を動かしながら、返事だけ返した。


「昨日、変な夢見たんだよね」
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