フレーム·イン《密フェチ》
だけど、実際は本当によく頑張ってくれている。
他の同期よりも先輩よりも主任よりも、私が一番こいつを分かっていると自負している。
だから、今日もこうして部署の誰よりも早く出勤しているわけで。


「…でも、先輩が俺のこと褒めてくれんのは嬉しいかも」


彼はそう言って、わしわしと頭を掻いた。
眼鏡のせいで私より年上に見える目の前の人物が照れ笑いする様は、新鮮で、迂闊にも動揺してしまう。
それを表すかのように、私の肘がデスクの上のボールペンを直撃し、床に落下した。


「…っと!」


事務用とは言え抜群に書きやすいお気に入りのそれに、慌てて手を伸ばす。
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