甘く優しく、触れて。
一つ一つの仕草に、バカみたいにあたしの心臓はドキドキって反応するの―――。
それでも…… 触れられるだけで、ドキドキして、安心する。
「まお」って名前も呼んで貰えるだけでも幸せな気持ちにしてくれる。
もちろんこうやって、手を握ってもらっている今も幸せ。
だからもう少し―――もう少しだけ、このままで。
再び瞳を閉じる。
次、起きる時は“まおっ、起きろ”と焦ったいっくんの声を聞くその時まで―――。
ギュッと、少しだけ力を込めてその手を握った。
――― finish.