君に贈る恋のうた。
慌てて寝室の扉を開く。
『杏璃っ!?』
「いやぁ!ゆづ、どこぉ!」
泣きじゃくる杏璃がベッドにいて、取り乱し方が普通じゃない。
俺が見えてないようで目の焦点も合ってない。
何度も杏璃の名前を呼ぶけど聞こえないのか、泣き続け、叫び続ける。
「いやっ! いやぁっ!」
『ーーー杏璃!!!!!』
このままじゃ埒があかないので、無理矢理俺の方を向かせて一際大きい声で名前を呼ぶ。
そのまま杏璃を引き寄せて、苦しいくらいぎゅうっと抱き締めた。
ビクッとして暴れていた杏璃は次第に落ち着いてきたようで、荒い息を整えている。