君に贈る恋のうた。
「こわ、かった…」
『ん』
「ゆ、めで、よかった…」
どうやら怖い夢を見たらしい。
ここまで取り乱した杏璃は初めてだから、少し驚いた。
ビクビクと肩で息をしながら頭を押さえた杏璃。
慣れない酒なんか飲むからこう言うことになるんだ。
『二日酔いだろ』
と俺が言うと、不思議そうな顔をした杏璃。
……覚えてないのか?
「…二日酔い?」
『昨日のこと、覚えてない?』
「…覚えてない、かも」
気まずそうに、眉を下げる杏璃はやっぱり昨日の記憶がないらしい。