君に贈る恋のうた。
「急がなくていいから。」
『うん』
ようやく巻ききれた髪を見て、時計をみるとあと10分しかなくて、慌てて自室に駆け込んでクローゼットから服を引っ張り出す。
あっという間に部屋は服だらけの大惨事となった。
久しぶりのゆづとのデートだから、気合いを入れて可愛くしたいのに…
「俺が選んであげよっか」
いつの間にか隣にいたゆづはひょいひょいとたくさんの服を掻き分けて、何着か手に取る。
「杏璃。立って」
『………』
「うーん。 こっち、だな。」
渡されたのはベビーピンクのニットワンピ。
可愛い…けど、あたしこんな服持ってたっけ?
『ゆづ…これ』
「ん?雑誌の撮影ん時、女が着てて、杏璃の方が似合いそうだなーと思ったから買い取りマシタ。」