君に贈る恋のうた。
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午後の仕事はPV撮影。
テンションがた落ちの俺はヤル気なんて全く出ない。あたふたするスタッフを視界に入れながらも、心ここにあらず。
そんな俺の耳に入る。
「ゆづ」
綺麗な声がスタジオ中に響いた。
それを耳にしただけで、自分が癒されていくのを感じる。
『杏璃?』
後ろを振り返れば、君がいる。
「ゆづ」
彼女は少し眉を下げて、複雑そうな顔をしている。
『どうして、いるの?』
「加賀さんに呼ばれた」
『そっか、
おいで、杏璃。』
俺の隣まで来て、ソファーに沈む彼女を抱き寄せて膝の上に乗せる。
心配そうに俺の顔を覗きこんで、髪を撫でた。