君に贈る恋のうた。
「何が食べたい?」
『んー、ファミレスでいいよ?』
「……じゃあ俺が行きたいとこでもいい?」
『うん』
遠回しにファミレスは却下されて、ゆづは行き先はおしえてくれずに車を走らせ続けた。
運転中のゆづを隣からチラチラと盗み見する。
……綺麗な顔。
誰にでも愛される人って言うのは、たぶんゆづみたいな人のことを言うんだろう。
世間の中心にいて、テレビの中で輝いている彼が、隣にいる。
いつまでだっても実感なんか湧かない。
しばらくすると、お洒落なイタリアンのお店の前に車は停まってて、スーツを着た人が車窓をコンコンと叩いた。