君に贈る恋のうた。
車の中で、差し込む夕日を見ていたはずがいつの間にかうとうとしてしまいあたしは夢の中にいた。
大して遠くない、過去。
彼とあたしの、逢瀬。
ーーゆづと初めて会ったのは、まだ雪の降るような寒い日だった。
生まれてすぐに捨てられたあたしが親の顔を覚えてるわけがなくて、物心ついたときには施設にいた。
悲しいとは思わなかった。両親には一切の思い出もなければ名前さえも知らない。
何も覚えてることがない分、両親を思い悲しむことなんてなかった。
少、中、高と学校も行かせてもらえたし、ちゃんと育ててくれた施設の先生には感謝している。