君に贈る恋のうた。
「杏璃? なんで泣いてる?」
いつの間にかシャワーを浴び終えたゆづが後ろにいた。髪は少しボリューム感がなくなっていて、ポタポタと水滴が垂れている。すごい色気。
『ゆ、づ』
「うん?」
『…いろいろ考えてたら、悲しくなった。』
「そっか。 言い訳、していい?」
『言い訳?』
「うん、言い訳。」
少し困ったような顔をしながらゆづはあたしの隣に座った。
もうバニラの匂いはしなくて、かわりにシャンプーの匂いがした。
変わらないゆづの香りに、安心、した。