君に贈る恋のうた。
「結局、仕事が長引いてさ。」
『…うん』
「終わってすぐに加賀っちに車まわしてもらったんだけど」
あたしの髪を撫でながら、落ち着いた動作で話すゆづ。
「出待ちのファンが予想以上に多くて、走って抜けようとしたんだけど…囲まれちゃって」
『…え』
「そんで、掻き分けて車乗ろうとしたら、一人、女が抱きついてきて…」
『………』
「そいつが香水臭くて、抱きつかれた時に移ったんだと思う。」
『…うん』
「杏璃…もしかしてヤキモチ?」
言い訳、を聞いてちょっとほっとしてるあたしにゆづの嬉しそうな声が降ってきて思わず顔を上げた。