君に贈る恋のうた。
あたしの腕を引っ張ってゆづの膝の上に落ちる。
後ろからぎゅうぎゅうと抱き締められて、優しく涙を拭ってくれる。
「なぁ…妬いた?」
『………』
さっきとはうってかわって超ご機嫌なゆづ。
抱き締める腕の力を抜いてくれないから、身動きがとれない。
「言うまで離さないよ?」
意地悪なセリフが降ってくる。大分色気を含んだ低音ボイスにくらくらしながらも、黙って頷いた。
「杏璃、かっわいー」
さらにぎゅうっと抱き締められて、苦しい。
『ゆづ。グラタン、出来たから食べよ?』
「うん。 食べる」
なんとか脱出。
すこぶる機嫌のいいゆづに香水のことなど頭の片隅に消えてった。