君に贈る恋のうた。
「お風呂…入って」
返ってきた答えは質問と無関係。俺はすっとんきょうな声をあげてしまった。
え、え?
なんで、風呂?
意味わかんね。
「グラタン、まだ時間かかるから先に入ってきて」
杏璃のセリフに、思わず身構える。
少しして俺は、セリフの意味に気が付いた。
『……………ああ。』
全てはあの女のせい。
自分の服に鼻を近付けて嗅ぐ
しっかりと、甘ったるいバニラの臭いが移っていた。
やべぇ、全然気付かなかった。
杏璃の言う通り、すぐに風呂場へ向かった。
熱いシャワーを頭から浴びると少しだけ脳が冴えていくのを感じた。