君に贈る恋のうた。
「ユツキさーん!」
鬱陶しい、女。
俺は歌手のはずなのに、芝居なんてできないはずなのに、なぜかドラマに出演していて。
相手役の女優が、うざい。
あーもう、なんでこのオファー承諾したんだろ。
後悔しても遅いけど、やめとけばよかった…
「ユツキさぁん!今夜お暇ですかぁ?私、すっごく素敵なお店見つけたんでいっしょに行きましょう?」
『………』
「もぉ、無視しないで下さいよぉ!」
語尾を伸ばした媚びるような話し方と、キラキラした長い爪、付けすぎの香水。
そしてなにより、清潔感のない化粧。
トータルで、俺が一番嫌いなタイプの女。
めげずに隣で話し続けるコイツに、頭痛がした。