君に贈る恋のうた。
唯月side
『はい、加賀っち』
「なんだ、唯月にしては仕事が速ぇな」
『いつも速いから、俺』
「はぁ? お前、ちょっと速く描き上げたからって調子乗りすぎだから」
『…もう一回描き直そうかな』
「いや!待て待て!」
『やっぱりサビのところ、納得いかなかったんだよねー』
「唯月! 俺が悪かったっ! これはこのままでいいから!」
『………そう?』
何度もコクコクと頷く加賀っちに、遊びすぎたか、と笑う。
朝一番に、昨日杏璃のおかげで速く終わった曲を渡したのに、あんな失礼なこと言われるなんて。
いつもは俺が仕事遅いみたいに。