君に贈る恋のうた。
だからお偉いさんたちとの飯は嫌なんだ。
下心丸見えの、品のない話が飛び交うから。
『お誘いありがとうございます。一度くらいなら、お時間を作りましょう』
「おお!会ってくれるね」
『…お言葉ですが、』
「うん?」
『俺には大切な人がいます。これから先も、一生俺の隣にいてくれる大事な人が。』
「………」
『ですから、葉鳥会長の娘さんにお会いしても俺はご期待に添えられないと思います。』
最後の口の緩みは、今日の中で一番意地の悪い顔になっていたと思う。
顔面蒼白になった加賀っちを肘でつつく。
『…明日も仕事がありますので、失礼します。本日はありがとうございました。機会がありましたら、またお願いします』
俺は加賀っちを引きずるようにして個室を出た。