君に贈る恋のうた。
杏璃side
起きたら、隣にゆづはいなかった。
まだ少し温かいシーツに、寝坊しちゃったな…と思う。
眠たい目を擦りながらリビングに行くと当然ゆづはいなくて、変わりに彼の香りが部屋いっぱいに広がっている。
ゆづがいた跡はたくさんあるのに、ゆづ自身はいない。
ぼーっとする頭を覚醒させるために熱いシャワーを浴びる、昨日のことが嘘のように洗い流されて消えていく感覚があたしを襲った。
振り払うように頭をふって、準備をすると現実からにげるように大学へ向かった。