君に贈る恋のうた。





『ゆづ』



小さい声で言ったつもりだったのに、あたしの声はいやに響いた。


あれだけあたふたしていたスタッフさん達もあたしを見てホッとしたような顔をする。


なんか怪物の生け贄に捧げられた気分。



「杏璃?」



色気のある綺麗な声で名前を呼ばれると、どうしていいかわからなくなる。

曖昧に微笑んで、もう一度呼んだ。




『ゆづ』



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