君に贈る恋のうた。
時計を見ると、
23時58分。
もう日付が変わる。
携帯を開いても杏璃からの連絡はない。
夕方のメールで俺が会食だから飯はいらない、と送った返事に「じゃああたしも友達と食べてくるね。」ときたきりだ。
少し震える指で、杏璃に電話をかけるが、
……………でない。
何度何度もかけるが一向にでない。
『………杏璃…』
温もりのない、一人きりの空間に俺の声が響いた。
どこにいんだよ。
頼むから、電話でてくれよ。
杏璃だってもう二十歳だし、補導なんかされない。むしろいつも19時に家にいることの方がおかしいんだ。そんなことわかってる。
俺が異常なのか。
でも、心配すぎる。