君に贈る恋のうた。
『ーーー触んな』
耐えきれずにもらした声が思ったより店内に響いた。
バレたら大変なことになるから、出来るだけ目立ちたくなかったのにこんなんじゃ注目の的だ。
「あっ! 彼氏さん来たぁ~杏璃ちゃん!お迎えきたよぉ~」
「………んぅ」
俺の前までやって来て、席まで引っ張るこの女。準備万端ですとでも言ったような身なりを見てまさに合コンだな、と嘲笑ってしまった。
目の前の杏璃は、グラスを持ったまま落ちたらしく、規則正しい寝息が聞こえる。
本当にコイツは、人の気も知らないで。
『…杏璃』
「ん………」
『起きろ、帰るぞ』
「……、ゆづぅ?」