君に贈る恋のうた。
目を擦りながら顔を上げた杏璃は、トロンとした表情で俺を見る。
やばいくらい色っぽい。
超可愛い。
ここが家だったら、今すぐ抱き締めたのに。
ちょっといけないことを考え始めていたから、油断した。
起きた杏璃をそのまま引っ張ると前のめりに倒れた。
「ゆーづぅ!」
『ーーうゎっ』
カシャン、と鈍い音をたててメガネが落ちた。
ーーーー刹那。
「「「キャーっ!!」」」
薄暗い店内に女の甲高い声が響いた。