君に贈る恋のうた。
杏璃side
夢を、見た。
ソレは、ゆづに出会う前のあたしの居場所そのもので。
ーーーなにもなかった。
黒いのか白いのか、それすらもわからない。
完全な¨無¨の世界に、あたしは一人だった。
涙もでなければ、笑うこともない。感情までもが全て支配されていくような感覚に恐怖感を覚えては消えていった。
そこにあたしはいた。
あたしの唯一の居場所だったから。
心地のいいものとは到底言えないこの夢。
夢だと肯定した瞬間、意識が遠退くようにその場所は消え失せた。