雨あがりの空に
本を全て、読み終わり…拓海を見ると、拓海は静かに涙を流していた。


「……この…坊やって…僕のことだよね?…」

「…ッ…そうだよ。…これは…拓海のことだよ…」

「…僕、クローバー探す!四つ葉のクローバー!きっと…ママはクローバーにお願い事をしたんだよ!…グスッ…僕が、そのクローバーを見つけてみせる」

拓海は、そう言うと…本をギュッ抱きかかえながら、クローバーを探し始めた。



…俺は、近くのベンチに座って…一生懸命にクローバーを探す、拓海の後ろ姿は見つめていた。



「…この、手紙…」


俺は、一通の手紙に目を向けた。


これは、俺あての手紙だった。



ゆっくりと、封筒の中から手紙を取り出した。



翠が書いた字を見た瞬間に…俺は、息を呑んだ。
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