雨あがりの空に
ポタッポタッ。

手紙の上に、大粒の涙が落ちて…翠の字が滲む。


「……クッ…グスッ…バ、カ…翠の代わりなんていねぇよ…うっ…」


目頭を、手で押さえた。

涙を堪えているのに…溢れて、頬を伝う。



翠…。

この手紙を書いてるとき、どんな気持ちだった?

悲しかったよな…。辛かったよな…。


でも…お前は、どんな時だって…弱音を吐かずに頑張ってたよな。



翠は、最初から全部分かっていたんだ。


もう自分に残されている時間は、残り少ないことも。

自分は、もう死んでしまうことも…。


だから、あの日…。

箱を埋めたんだろ?俺に気付かれないように…。


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