雨あがりの空に
「…ごめんね?大変だったでしょ?二日間も…」

「バーカ。平気だっつーの!」


コツンと、翠のおでこを軽くデコピンした。

「…ちょっ!バカ…」

真っ赤な顔で怒る翠。

こういうところ全然変わってない。

中学生の頃からずっと……。

翠は何かあると、少し照れた感じで顔を真っ赤にして怒るんだ。

どんなに時が流れても。

翠が母親という立場になっても、変わってない。

そういうところが良いと思う。


「あー!!パパ~!ママをいじめちゃいけないんだよ!おじいちゃんが言ってたよ!女の子には優しくしないとダメだって!」

「そうだよねぇ?拓海!ママに優しくしないとね~!」

「うん!」

「偉いなぁ!拓海!おじいちゃんは大切なことを教えてくれたな~!」

ワシャワシャと拓海の頭を撫でる。


おじいちゃんとは、翠の父親。広信さん。


広信さんは、5年前に…白血病で亡くなった。

65歳だった。


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