雨あがりの空に
「「拓海!?」」


「うぇぇ~!痛いよ~!」

拓海は尻もちをついていて、拓海の少し前では、拓海と同い年くらいの女の子が泣いていた。

女の子の膝からは、血が流れていた。

きっと、拓海とぶつかったんだ。

女の子の母親らしき人がすぐに駆け寄ってきた。

「美穂!?大丈夫!?」

俺は、その女の人に頭を下げた。

「すみません!うちの子供とぶつかってしまって…。ケガをさせてしまって…。本当にすみませんでした!」

「ほら、拓海も謝るの!…本当にすみませんでした」

翠は、拓海を立たせると、頭を下げさせた。


「いえいえ、そんな謝らないでください!うちの子も走っていましたので、お互い様ですよ。そちらの子にケガはありませんか?」

「はい。大丈夫です。」

「良かったです。本当にこちらの方もすみませんでした。」


女の人は、少し微笑むと女の子を抱きかかえて行ってしまった。

俺は、拓海に視線を向けた。

そして、少し苛立ちの声を出す。

「拓海、パパは走るなって言っただろ?どうして言うことを聞かなかった?」

拓海は、俯いたままで、上を向こうとしない。
< 33 / 112 >

この作品をシェア

pagetop