雨あがりの空に
「……何…言って…」

「先輩のことが好きでしたよ」


前田さんの頬は、ほんのり赤かった。だけど…凄く悲しい瞳をしていた。


「…でも、今は好きじゃないですよ!今、言ったことは過去形ですから!忘れてくださいね」

「…前田さん?」

「…先輩を困らせたくないから……」

「…………」

「ごめんなさい。…だけど、私の気持ちを知っていてほしくて……」


俺は、前田さんの肩に優しく手を置いた。


「…正直、びっくりだよ。…俺のことを好きになってくれるなんてさ……素直に嬉しいよ。…俺のこと好きになってくれてありがとう…」

前田さんは、静かにコクッと頷いた。


「…でも、俺は…守らないといけないものがある」

「……それは………奥さんと子供さん…」

「うん…翠と拓海が何よりも大切なんだ。……だから前田さんの気持ちには応えられない…ごめん。…本当に本当に…」

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