雨あがりの空に
俺は、一階のリビングまで下りた。

「拓海!?」

トイレ、リビング、居間、寝室、

どこを探しても拓海の姿はない。


冷や汗が出てくる。

玄関を見た。


そこに拓海の靴はなかった。


俺は、ハッとした。


昨日……。

拓海は翠に会いたがっていた。

ママに会いたいって…泣いてた。


拓海は…

拓海は…


翠に会いに行ったのかもしれない……。



だけど、あの病院まで、子供の足で行ける距離じゃない。


拓海、どこかで迷ってる。どこかで泣いてる。


俺は、部屋着のままで、スニーカーを履くと…家を飛び出した。
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