雨あがりの空に
俺は、拓海を強く抱き締めた。

「…バカ!どこに行ってたんだよ!…パパ、心配したんだぞ!?」

「…うぅ…ごめんなさい…ごめんなさい……僕、ママに会いたくて…」

拓海は、俺のTシャツを強く握りしめると…泣きながら謝った。

「…ママに…会おうとしたのか?」

「……う…うん……昨日…夢でママが言ってたの…」

「…え?」


「……ママは…もうすぐ死んじゃうから………それで、それで…ママのこと忘れないでね…言ってきたから…うぅ…ふぇ…ママに会おうとしたんだ…」


ズキッ…。


俺の心は痛んだ。



ママが死んじゃう…。


何でか分からないけど…涙が溢れ出そうになった。



「…拓海…ママに会いに行こう…」



俺は、拓海の頭を撫でながら言った。


俺は…このとき何かを…感じていた。


変わる日常を…。
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